着たきりサンタ 雪知らぬ南の街に冬服の着たきりサンタがあわれ客呼ぶ 歳晩の猛暑に溶けぬ雪達磨にやっかいなるかな郷愁が引く イルミネーションの花を世界に咲かせいるサンタのまるき顔に出会えり 色うすきサングラスにて射す陽差し眩しく日陰編むごとく行く 電柱の細き日影に雨のなき日数を指折る肌濃き女と 折りまげし帽子のふちの深さほど夏を遠のけ乾し肉を買う 白鳥は逃げきり北へ戻りしや園の池の水湯となりし昼 大鍋を借りてゆがきし一本のアマゾン筍くばり星みる 故郷のわれを咎める人もなくなき故思う養父母の墓 堀りし穴の臭いかぎかぎママの国は遠過ぎるという犬の目が言う 卒業を祝うワルツの輪の中へわが手は息子に引かれてゆきぬ この夏もヘッドライトを点けしがに蛍の字に飛ぶ蛍を見むか 夏 十二月 |
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