街の端

　　　　白く見ゆる刻を止められロワール河は画布の上より下へ流るる

　　　　三歩行き二歩後退さり国柄を歌い見せいるああコメディアン

　　　　子の歳の杉の木を伐る　戻りきし鳥らの騒ぎに子の目が痛い

　　　　街の端町の真中の暗闇に罠ありかかりし人の血を見る

　　　　青年よ髑髏の指輪買うまいぞ嵌めれば異界の者なる印

　　　　竹椰子の根方より夜は生れはじめわれをくるめど夜に入らぬ空

　　　　日本の梅雨のようだと君は言い不運を並べ煙を吐きぬ

　　　　地より空へ押し上げ澱みし重量を雷鋭く叩き落しぬ

　　　　伐らんとし鋸を入れたる幸せの木の傷口はわれが知るのみ

　　　　鎮めむと海へ捧げし僧の腕のペンダント光らせ船旅の女

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